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 後期ローマ帝国の魔術師アロンは,皇帝マヌエルの時代に生きた。※???
 彼は,悪魔の軍団に命令をし,降霊術に携わるために,グリモア「ソロモンの鍵」を所有していたと言われる。人々は,彼の舌を切ったのち,その目をつぶしたが,これはしばしばある狂信の生け贄というわけではなく,強盗と同じ扱いの処罰であった。
 人々は,彼の自宅で,特に忌むべきものを見つけたのだ。それは,心臓に釘を刺し,鎖につながれた死体であった。




■捕捉
 魔術師アロンといえば,ほとんどの人が,出エジプトに登場するアロンを思い浮かべるでしょう。
 彼は,モーゼの兄にして,ユダヤ最初の祭司長であり,紀元前14世紀に活躍しました。
 対して,本項のアロンは,ずっと後年の人物となります。その年代がはっきりしないのは,本文冒頭の記述がつじつまがあわないからです。後期ローマ帝国(Bas-Empire)とは,
はじまり  ディオクレティアヌスの即位(西暦284)から
おわり  西ローマ帝国:帝国滅亡(西暦476年)まで
 東ローマ帝国:ユスティニアヌス1世の死(西暦565年)まで
 の期間を言いますが,マヌエルが東ローマ帝国皇帝に即位したのは,西暦1143〜1180年です。じつに,数百年の差があります。
 文献には全く出てこないドマイナーな人ですから,訳を正すのに有力な手がかりは見つかりそうにありません。Aaron(アロン)は「地獄辞典」の最初の項目なんですが,ちょっと先が思いやられますね。

■関連項目
→グリモア
→ソロモンの鍵
→降霊術(ネクロマンシー)